「まるで一人称単数みたいだね。」
ーーーーーーー
団地の本屋に向かうバスの中で夫が言った。
10月のカベタマ文庫がなかなか決まらず、
そういえばノゾムちゃんが働いている本屋さんに行ってみようと、
家から1時間半かけ、青葉台の駅からさらに緑が深くなっていくバスに乗り、
若葉台団地にある本屋さんまで向かっていたときに。
バスはどんどん丘を登り、乗客はほとんど降りてしまって
まるで本当に、一人称単数の中の一つのお話のようだった。
ーーーー
その本屋は不思議な空間で、
我々が欲しかった本、
手にとって中をみてみたかった本、
新刊も古本も物語も詩集も絵本も
欲しい本ばかりが溢れていた。
店内は明るく、団地の子供たちが出入りし、住人が雑誌を買い求め一見普通の本屋だけれど、
置いてある本のラインナップを良くみると、本当に本が好きな方が選んでいるのだろうなと、
本と本屋さんで在ることへの愛情を強く感じる。
こんな本屋があるなら、この団地に住んでみたいなと思うような
なんだか身体によく馴染むブックショップだった。
ーーーーーーー
もともと読みたかった本ではなくて、
ここに来たから出会えた
今まで知らなかった本を3冊、
今月は選びました。
○美しい街 尾形亀之助著 松本竣介画 夏葉社
○さんびきのちいさいどうぶつ マーガレット・ワイズ・ブラウン作 ガーズウィリアムズ絵 いぬいゆみこ訳 ペンギン社
○夏の入り口、模様の出口 川上未映子 新潮社
10月のテーマは(曇り空のような青色)
その色合いに惹かれて手にとった、今日の曇り空のような青色の本たち。
ーーーーーーー
行きのバスの中で我々は
(クリーム)の主人公は何故あんな事をされてしまったのか?をボソボソと会話を交わす。
(みんな、自分では気がつかないうちに、
誰かをたいへんに傷つけているのかも知れない。)
(それとも 捻れてしまった恋煩い?)
(僕が自分に恋しなかった事への完璧な逆恨みの可能性もあるね。)
とにかく、私一人がそのつもりで生きているこの世界は、
他者にとっては全く違う景色や感情に彩られているのかもしれず、
この世界の物語を語るには
我々が一人称単数の対義語をみつけるかことが必要なのかもしれない。
そんな事を考えながら、
たくさんの、(私ではない)人々が住む、大きな団地の本屋に訪れた一日。
ーーーーーーー
定休日の午後、2人で小旅行気分で行ってきました。
そしてまた明日から
中心がいくつもあって、外周を持たない円の事を考えながら毎日お店を開けます。
出来るだけ、一生懸命に。
BOOK STAND 若葉台
https://www.instagram.com/bookstand_wakabadai/
https://mobile.twitter.com/bookstandwakaba
とても素敵な本屋さんだったので、
ぜひ小旅行気分で、本を鞄にしのばせて
でかけてみるのも楽しいかもしれません。
友人の ノゾムちゃん @the_independent_sardine は水曜と日曜の早い時間にいるみたいです。我々と本の趣味が合う彼女が働くお店なので、きっと素敵な本があるのだろうなと思って今回うかがいました。
@bookstand_wakabadai 店主の三田さんはおだやかだけれど、強く優しい意志の持ち主といった感じの方でした。
青葉台の駅前には
ミスタードーナッツとパンの神戸屋さんもあったので
今度行くときはバスに乗る前にサンドイッチかドーナッツを買って
本屋さんで少し選びつかれたら、
コーヒーを淹れてもらって、表のベンチで
少しひと休みするのもいいかもしれないななんて思いました。
本が好きな人だけではなく、
本を好きになりたいひとに
そのきっかけが置いてあるような本屋さんでした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
#BOOKSTAND若葉台
#美しい街
#尾形亀之助
#松本竣介
#夏葉社
#さんびきのちいさいどうぶつ
#マーガレットワイズブラウン
#ガーズウィリアムズ
#いぬいゆみこ
#ペンギン社
#夏の入り口模様の出口
#川上未映子
#新潮社
#中心がいくつもあって外周を持たない円
#一人称単数
#クリーム
#村上春樹
#文藝春秋
#喫茶壁と卵
#壁と卵
#カベタマ文庫
0コメント